こんにちは!ぽらぽらです。毎日レビューチャレンジ、16日目にしてついに、レビューから感想、と変わりました(^◇^;) もうどう考えても感想だもんね(笑)
気を取り直して、今日は映画 日日是好日 です。もうね、日本文化の考え方がしみじみと染み入りました。淡々と、暑い日はうだるような暑さを、寒い日は身を切るような寒さを感じ楽しむ。あるがままをそのままに。
良かった〜この映画!大好きです。
もくじ
感想16 日日是好日
あらすじ
主人公の典子(黒木華)は真面目で理屈っぽい性格、おまけに少しおっちょこちょい。大学時代に一生をかけられる何かを見つけたい、と思っていますが、心とは裏腹に学生時代は過ぎ去っていきます。そんな時に母親からの勧めで、従姉妹の美智子(多部未華子)とともに武田先生(樹木希林)にお茶を習うことになります。
茶室に入るときは左足から、など細かな決まりのあるお茶の作法、「なんだかお茶って、大変…」いちいちなんでそうなのか、と考える典子ですが、それに対して先生は「意味なんてわからなくていいの。お茶はまず「形」から、先に形を作っておいて、その入れ物に後から心が入るものなのよ」と説きます。また、頭で考えながら作法を行おうとする美智子に対して、「頭で考えるのではないの。お茶のお稽古は回数なの。何回もやっているうちに、体が勝手に動くのよ」と、教えていきます。
その後、美智子の就職が決まったり、自分は出版社の試験を受けて落ちたり、日常では色々なことがありますが、春の日も、雨の日も、夏の日も、秋の日も、冬の日もお稽古を行う典子。季節による雨の音の違いや、お湯の音と水の音の違い、そんな細やかな気づきを経て徐々にお茶の世界に魅せられていきます。
いつしかお茶を習い始めて10年が経ち,才能ある若者も現れ、好きだったお茶にも限界を感じるように。そんな中、日常生活では恋人の裏切り、大切な人との別れなど,典子にとってまさに冬の時期をむかえます。(参考:映画「日日是好日」公式サイト)
という、本当に淡々と、お茶のお稽古のシーンを軸に典子の生活、ちょっとした事件が描かれていきます。前半はほとんどがお茶室のシーンなのですが、これが、とても静かでいいんです。
典子の恋愛など、ほとんど描かれません(笑)色々山あり谷ありなんですが、点々とエピソードと典子の感情が描かれるのみで、軸はお茶室。そんな映画。
静かなお茶室の無限の宇宙
もうね、この映画お茶室のシーンが大半なんですけれど、これが粛々としていて、本当に素敵で。
私はあまりお茶については詳しくはないんですが、すごく細かな作法があるんですよね。それこそ、部屋には左足から入って、畳1畳は6歩で歩く、帛紗は折り方、捌き方が細かく決まっている。その細かな形を反復することで、無心で行えるようになる。無心で行う中で、雨の音や、お湯のトロトロという音、水のキラキラという音、そういう豊かな自然が感じられるようになる。
掛け軸一つとっても、お茶室にはその時その時にあった掛け軸がかけられており、それを眺めて掛け軸の世界を感じる。そしてこれもおもてなしの心なんですよね。
もうね、お茶室の中は宇宙だね。流れるような美しい所作のなかに、精神世界の宇宙が広がっている、と、思いました。
そう思えるような素晴らしい役者さんたちの演技だったんですよ!
役者さんたちが、すごくいい演技をするんですよ、ホント
樹木希林さんがはまり役で。この人の嘘のない演技が、お茶の世界の奥深さをより一層近づけてくれるといいますか…。樹木希林さんご自身が、日日是好日の境地で生きておられましたもんね。
なんてすごい存在感なんだろう、と改めて思います。そういえば、もうすぐ樹木希林さんがお亡くなりになって1年でしょうか。きっと天国でこの映画の公開を見守ったのでしょうね。いやいや、そんなことサラリと忘れて、天国ライフを日日是好日で楽しんでいらっしゃるかもしれませんね(*´-`)
黒木華さんは、まず発する“気”がすごく良いんです。我とか、気負いとか、全く感じられなくて、自然にそこにあるように演技をしていて、この方もいい役者さんなんだなぁ、としみじみ。
黒木華さん演じる典子が、初めて無心でお茶を点てるシーンがあるんですが、この時の演技が秀逸。あぁ今この人無の境地なんだろうなぁ、というのがちゃんと伝わる。この若さで無の境地の演技ができるってすごいなぁと思うし、優れた役者さんって、もしかしたら元々が自分を無にできる人達で、そこに役を下ろすような感じなのかもしれないなぁ、と思ったり…。
役者さんの演技力の高さにも、ため息がでる映画でした。
日日是好日とは
調べましたら、ここのサイトの説明がすごく良かったので、引用させていただきました。
この語は中国の唐未から五代にかけて活躍された大禅匠、雲門文偃うんもんぶんえん
黄檗宗 少林山達磨寺 禅語を味わう
禅師の言葉です。
たぐい希な、鋭い機峰と、すぐれた禅的力量の持ち主であった禅師は、簡潔な語句を駆使して、自由闊達に禅を説きました。
日々是好日は雲門禅師の悟りの境地を表した、最高の言葉であります。
毎日いい日が続いてけっこうなことだ、などといった浅い意味ではありません。
一般に私達が、今日はよい日だ悪い日だという場合、天気だけでなく、お金が儲かった・損をした、よいことがあった・嫌なことがあったなど、そんなものさしで判断します。
しかし、これは優劣・損得・是非にとらわれた考え方です。
それではたとえ、ある日幸運が訪ずれても、その後に来る不運に脅えなければなりません。
日々是好日とは、そんなこだわり、とらわれをさっぱり捨て切って、その日一日をただありのままに生きる、清々しい境地です。たとえば、嵐の日であろうと、何か大切なものを失った日であろうと、ただひたすら、ありのままに生きれば、全てが好日こうにち
なのです。
好日の好は好悪こうお
の好ではありません。「嵐か、よし、嵐なにするものぞ!」、「失ってしまったか、よし、どうにかこれを改善しよう!」と、積極的に生きる決意 "よし" がこの "好" なのです。
禅では、過ぎてしまったことにいつまでもこだわったり、まだ来ぬ明日に期待したりしません。
目前の現実が喜びであろうと、悲しみであろうと、ただ今、この一瞬を精一杯に生きる。
その一瞬一瞬の積み重ねが一日となれば、それは今までにない、素晴らしい一日となるはずです。
これを読むとまた、この映画の描こうとしていたことが深く理解できる気がします。
思えば、植物、動物、昆虫、その他全ての生命たちは、自分の与えられた環境をただただひたすらに、精一杯生きていますもんね。人間も含めこの世に産み落とされた生命は、自分の命を精一杯生き抜くしかないんですよ。良いも、悪いも、優れているも、劣っているも、ここにあるから生き抜く。もとより今、自分ができることを精一杯するしかない。
そう思うと、生命の全肯定、命の尊厳のような言葉にも思えます。
あ、なんだかミュウツーの逆襲EVOLUTIONの感想と被ってきた(笑)
で、私今まで日日是好日を「ひびこれこうじつ」だと思ってましたが、「にちにちこれこうじつ」だったのですね(≧∀≦) またもや49年目の真実!勉強になります。
ん?でもこの解説を見ると、「にちにちこれこうにち」なのか?? とりあえずこの映画のタイトルは「にちにちこれこうじつ」です。
キャスト他
- 典子:黒木華
- 武田先生:樹木希林
- 美智子:多部未華子
- 典子の父:鶴見辰吾
- 雪乃(武田先生の親戚):鶴田真由
- 田所(茶道教室に通う婦人警官):原田麻由
- 早苗(茶道教室に通う美容師):川村沙耶
- 由美子(茶道教室に通う主婦):滝沢恵
- ひとみ(茶道教室に通う高校生):山下三月
- 典子の母:郡山冬果
- 典子の弟:岡本智礼
まとめ
雨の日には雨を聞く、雪の日には雪を見て、夏には夏の暑さを、冬は身の切れるような寒さを。五感を使って全身でその瞬間を味わう。
そして人生も、いい日も悪い日も、悲しい時も嬉しい時も、山を登っている時も、明るい日も暗い日も、谷を下っている時も…良いでも悪いでもなく全て受け入れてその瞬間を味わう。
お茶ってこういう境地を得るために、粛々と形を繰り返すのかもしれません。
お茶、良いです。
こちらは原作♪