いやー、もうこの本、図書館においてあってすっごく嬉しかったんですよ(≧∀≦)
この本の著者は新井素子さん。私が中高生の頃とにかく大好きで、この方の本という本すべて読んだんです!
確かコバルト文庫ですよ!懐かしいなぁ。私と同年代の方はわかってもらえるかもしれませんが、その当時のコバルト文庫って、中高生に絶大なる人気があったような気がします(//∇//) (今も人気なのかもしれませんが…)
赤川次郎さんなども、コバルトで読んだ気がするなぁ。好きだったなぁ( ̄∇ ̄)
この本は、シリーズになっていて、本当はこの前に『星へ行く船』というお話があります。でも図書館で貸し出し中だったので、こちらから借りました。いいの、話はよくわかっているから。懐かしくて一気読みでした。
ちなみに今回読んだこの本は、出版芸術社から2016年に再度出版されたものです。星へ行く船全シリーズが再出版されたようですね。わーい、全部読もう♡
もくじ
感想 通りすがりのレイディ
あらすじ
シリーズ1作目の『星へ行く船』は、主人公の森村あゆみが地球のお嬢様だったにも関わらず家出をし、そこで事件に巻き込まれ、そこで関係した火星にある水沢総合事務所(やっかいごとよろず引き受け業=ちょっと危険な探偵事務所)に勤めるようになる、というお話。あゆみちゃんはそこに出てくる、宇宙一自信過剰で、有言実行の実力がある山崎太一郎のことを、ちょっといいと思っている、という状態です。
シリーズ2作目のこの作品は、その太一郎さんの誕生日にケーキを焼くシーンから始まります。ボールや泡立て器と文字通り格闘しながら、なんとか焼き上げたケーキを持って、太一郎さんのマンションに行くのですが、マンション前で喪服を着た、美人というより可愛い…可愛いんだけど美しい女性に出会います。あまりに素敵なその女性に一目惚れしてしまい、心の中で“レイディ”と呼ぶあゆみちゃんですが、例にもれず、その女性と関わることで事件に巻き込まれていきます。というより、自ら首を突っ込んでいきます。レイディ”を守りたいという気持ちで突き進むあゆみちゃんですが、その事件はあまりにも非人道的で、黒幕は、あまりにも強大で…
と、いったお話。相変わらずのあゆみちゃんのまっすぐさとドジっぷり、太一郎さんのかっこよさ。ちょっと皮肉な情報屋の中谷くん、凄腕のレイディなど、魅力的なキャラが生き生きと動きます。
終始一人称で語られる
新井素子さんの小説の特徴なんですが、終始主人公の女の子(多分、私が知る限り全て女の子が主人公のような…男が主人公の小説はない気がします)の一人称で語られます。例えば、この本の冒頭もこんな感じです。
も、怒った。あたし、怒った。こんなのってない。こんなのって許せないわよ。
やい、卵!このっ、卵!何だってそう素直じゃないの。何であたしが泡立て器持ってると思うの、ひとえに……本当に、ひとえに、あなたに泡立って欲しいからでしょ。なのにこんなあたしの気持ちが判ってるくせに、何だって泡立たないのよ。ほ、本当に怒っちゃうからね、
(笑)もう可愛くないですか?いきなりこんな冒頭で可愛く怒られたらさ、一気に感情移入してしまうじゃない。最後までこんな感じなので、とにかく、読みやすい!主人公の感情=自分の感情なんですよ。主人公とともにハラハラドキドキ、怒ったり、悲しんだり、痛かったり、ずっと冒険できるのが新井素子さんの小説の一番の良さです(≧∀≦)
だから、スラスラ読めます。一気読みする人が多いのではないかなぁと(勝手に)思っています。
とにかくあゆみちゃんが可愛く、太一郎さんがかっこいい
中学校の頃、もう太一郎さんは理想の男性の一人でした。とにかく仕事ができる。何を壊しても(笑)とにかく仕事を成功させる。普段はボサボサの髪にくわえタバコ(時代を感じますね^ ^)、良い服もだらしなく着こなし、部屋は洗濯物がたまっているような有様だけど、こと、仕事をさせるととても優秀!
あゆみちゃんはとにかく可愛い。ドジで抜けてるところもあるんだけど、まっすぐで、正しいと思うことがブレない。そして心に決めると周りがどんなに反対しようとも突き進む強さも持っています。なぜかどうにかなってしまう運の良さも持っています(この運の良さが、シリーズ後半の重大な任務に関わってくるのですけれど)
あらためて読んでいると、爽やかで、あぁ〜こんな純粋な大人になりたかったなぁ( ̄∇ ̄)なんて思います。汚れた大人になっちまったなぁ…
出てくる途上人物が、みんないい人なんですよ。頼りになる水沢所長、その恋人お茶汲みのプロ(それだけではない、全体的に優秀)麻子さん、人情溢れる熊さん、どんな情報でも1日あれば揃えてくる情報屋の中谷くん(あゆみちゃんの同期)。愛すべきキャラで、シリーズ通してどんどん感情移入しやすくなっていきます。
大人になって読むと…みんな若い
中高生の頃って、この登場人物たちがとても大人に感じたんですよ。大人の世界と言いますか^^;
読み直すとさ、何と!太一郎さんが26歳。あゆみちゃん20歳。レイディ25〜26歳、水沢所長30すぎ…。なになに?この若さ。この歳にしてはみんな優秀すぎない?
でも中学生の頃に、40歳とかさ、そんなおじさんおばさんの話なんて、読まないよね(笑)あの頃の私には、このお兄さんお姉さんの活躍が素敵に映ったんだなぁと思います。
時代を感じる描写が面白い
先ほども少し書いたのですが、太一郎さんがくわえタバコだったり、連絡が固定電話だったり、時代を感じる描写がたくさん。近未来のSF小説という設定と相まって、とても面白く感じます。ものすごく強大な敵から逃れようとしているのに、固定電話でベラベラ情報を話していたり…(今だったら、盗聴されたりといった心配が必ずついてまわりますよね)
少し昔の小説なり、物語って、その時代のタイムカプセル的な楽しみもあります。そんな意味でも面白かったです!
まとめ
ものすごく懐かしかったです。若い頃に好きだったものって根深く自分の一部になっているんだなぁと再確認。やっぱり太一郎さんはかっこよかったし、あゆみちゃんのことが大好きだし、一人称で描かれる新井素子さんの小説が大好きでした。
一緒に収録されている、情報屋中谷くんが主人公のお話、『中谷広明の決意』も面白かったです。中谷くんがブツブツとつぶやいてる話(笑) あ、これ、中谷くん(男性)の一人称だ!
シリーズ1作目から、また全部読み直そうと思います(≧∀≦) ちょっと楽しみができました♪
シリーズ第1作目がこちら
シリーズ全巻セットもあった!
コバルト文庫も、売っていた!!懐かしい〜。中古で31円!…私買うかもしれない…